2248年、私の旅

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彼らの金属の身体から澄んだ透明な液体がゆっくりと滲み出て、気づくとたくさんの美しい液体で乾いた大地が満たされている。その不純物を含み得ない特別な液体は、重力に逆らって自発的に動いた。その動きは何かを伝達するかのように表面を細かく震わせながら、互い違いに細く伸びては絡み合い、くっ付き、またひとつになり、そして触角のように何本も分かれて伸び、結合と分化をいたる所で繰り返していた。 針金のような鉄屑のような金属たちは、自ら生み出した液体たちに、光と混じり合い溶かされ始めていた。恒星の光はあまり多くは届いてはいないが、いくらか時間が経ち、光が大地に届いているということがはっきりと確かなものになっていた。 空にはやけに細長い気球のようなものがゆっくりと流れるように浮かんでいた。それらはひとつひとつはほとんど単色だがそれぞれ様々な色をしていた。それらの間を静かな音が行き交っていた。その音の交信によってなされる情報のやり取りを表現するかのように、きらきらとした粒子が、無数の小さな虫が全体として不定形な形を作るみたく動いていた。 彼らは初めから特別な伝達手段を持っていたため、そこには他者という概念が成立することなく、全てが一体となっていた。全てはつながり合い、関わり合っていた。     
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