4人が本棚に入れています
本棚に追加
風に靡く艶やか黒色の長髪を耳にかけ、桜の花びらに触れるかのように右手傾け朧気な様子で立っていた。
私は、その少女の妖艶な姿に見とれてしまった。
まるで、時が止まったかのように。
数秒たった頃、私の存在に気づいた少女は私と目を合わせた。
少女は首を傾げ
『何か?』と尋ね私へと歩いてくる。
『あっ!いえっ!別に……』
顔を赤らめ慌ててる私に、くすりと微笑み。
『あなた1年生?』
『あっ!はいっ!なぜ分かったんですか?』
『だって、この場所初めてきたような顔付きだし、
それに、リ・ボ・ン』
少女は、自分の青いリボンに指を翳す。
『えっ?』
『私達2年生は青で、3年生は緑だから』
私は、少女と自分のリボンを見比べてみた。
『本当だ……』
『ようこそ!!青山女子高等学校へ!!』
先程の朧気に桜を見上げていた様子とは違い、満面の笑顔で右手を翳し握手を求めてきた。
『あっ!!はいっ!!こちらこそ宜しくお願いします!!』
互いに握手を交わす。
先輩の手はとても優しく女性らしい柔らさだ
った。
『何か分からない事があったら何でも聞いてね?』
『ありがとうございます』
舞い散る桜は、私達を優しく包み込んでくれていた。
それが、私と先輩との出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!