あの日のお兄さん

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でも、頑張って好きだって伝えるんだ。いいね? 「うん」 次で最後。 嫌だと思う人からは逃げて、一緒にいて楽しい人とだけ遊ぶこと。 「にげるの?」 そう、逃げるの。もしかすると、他の人がワタル君のことを弱虫だとか、卑怯者だと言うかもしれない。でも、そんなの関係無いんだ。君の人生は誰が何と言おうと君のものだ。 「うん」 あ、あとは…、あとは…。 「お兄ちゃん、泣いてるの?」 そう、だね。もうすぐワタル君とはお別れなんだ。 「そうなの?」 うん。 あと、自分を嫌いになったらダメだよ。君の一番の味方は君なんだ。 「うん」 お母さんを大切にしてあげてね 「うん」 食べ物を好き嫌いしたらダメだよ。 「うん」 歯を大事にするんだよ、歯は一度悪くなると二度と元に戻らないんだ 「うん」 元気に、生きるんだよ! 「うん」 それじゃあ、家まで走って帰るんだ。こっちを振り返ってはいけないよ。良いね? 「わかった!」 さ、行こう! タッタッタッ…… ふぅ。これで言いたい事は言えた。 俺の分まで頼んだぞ。 -------------------------------------------------- 「交通事故か」 「警部、お疲れ様です。自殺のようですね。」 「名前は?」     
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