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奥に控えていたらしい人物がビロードのトレーに一つの袋を乗せてくる。成人男性の拳くらいの大きさに膨れていた。
「!」
手に持つとズシッと重い。こんな重さの物ってあまり持った事がない。なんせ少し前まで猫だったから。
これがもし、全部金貨だったら……。
「どうした?」
「あぁ、いえ! 有り難うございます」
「また獲物を捕まえたら持ってきてくれ」
「はい、喜んで」
恭しく礼をして、レイバンは下がった。そうして城を出て、袋を懐に入れて逃げるように帰った。
これが銀貨だったとしても大金だ。そして生まれて初めて持つ重みだ。心臓バクバクで、悪い事はしていないのに凄く不安になっていた。
そうして森に戻ると、ランバートはカモを二羽綺麗に捌いて調理しようとしていた。
この人、案外一人でも生きていけるんじゃないか?
思ってしまったが、いやいや。世話になったご主人には贅沢とは言えないものの人並みの生活はしてもらいたいものだ。
「お帰り、レイバン。どうだった?」
「あぁ、うん。なんとか獲物受け取ってもらって、報酬くれたんだけど……」
すげー重いんだよな、この袋。
「どうした?」
「これがその報酬なんだけど……重くてビビってる」
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