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懐から袋を取り出し、ランバートに渡した。ランバートもその意外な重さに目を丸くして、中を改めて更に驚いた顔をした。
中身はやっぱり、全部金貨。大人の拳くらいの量の金貨だ。
「これでもう、冬越せない?」
「贅沢しなければ家が借りれそうだな」
「だよね」
二人で顔を見合わせ、苦笑する。とりあえず路頭に迷わずにいられそうだ。
お金をこのまま置いておくのは怖くて、土の床を掘ってそこに拾ってきたワイン壺に入れて蓋をして、土に埋めた。
そうして二人、ランバートが捕まえたカモを食べてお腹は膨れた。
どこからか取ってきたハーブをすり込んだ肉は香りがよくて肉汁がたっぷり。それを杭にさして外の焚き火でじっくり炙ってある。皮はパリパリでいい感じに美味しいし、肉はほろほろだ。
もう一羽は血抜きをして吊して、同じくハーブや少ない塩をして網を被せて風通しのいい場所に吊した。明日には少し熟成されているだろう。
「王様、ちょっと怖かった」
「そうなのか?」
「なんか、威厳みたいなのが半端なくてさ。見られただけで心臓止まりそうだった」
「そんなにか」
ランバートは少し不安そうな顔をする。そして不意に手を伸ばして、よしよしと頭を撫でてきた。
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