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一瞬言われた事が理解できず、反応が遅くなった。けれど次には体中が火照り、心臓はバクバクと音を立て、何の冗談かと脳が否定を伝えてきた。
「私が、貴方の? そんな! だって、それは未来の妃の務め……」
「鈍いですね、ナル。私は貴方にプロポーズをしているつもりです」
「プロ! そんな、でも、だってこんな……」
一度は呪われ、闇に落ちた身なのに……
違う不安が胸を埋める。子を宿す事はできるだろうし、やぶさかではない。
けれどその子が自分のせいで辛い思いをしたら? こんな伴侶を持った事でアルブレヒトが周囲に白い目で見られてしまったら?
きっと、とても苦しい。全ての罪がナルサッハにあるのだから。
「我が君、その願いは叶えられません。私は一度闇に落ちた身です。貴方の治世を支えるために尽くせというなら、喜んでお受けいたします。この身が朽ちても貴方を助ける覚悟は出来ております。ですが、妃は違う者に。もっと血筋の良い方が」
「お前でなければ意味はない。お前だからこそ、私は心から愛しいと思える。お前の生む子を、慈しむ事ができる」
「ですが!」
「お前が全てを負う必要はないのです。私が守ってみせます」
腕が抱きしめ、尾は絡まる。その尾が欲情を誘うようにすりあわせられると、腹の奥が熱く疼いた。
「ナル」
「んぅ、ふっ……ぅ」
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