318人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁ、ランバート」
「どうした?」
「冬を越す為の場所と資金、いるだろ?」
レイバンの問いかけに、ランバートも頷く。確かにそれは必要だ。見たところ今は平気だが、冬を長期間過ごすには心許ない。所々隙間風も吹くし、屋根も丈夫とは言えない。雪の重さに耐えられるか心配になる。
「俺が稼ごうか?」
「体売るのか?」
獣人は珍しいから、娼館が欲しがる。男相手の男娼館で猫獣人なんて、人気が出るだろう。しかもレイバンは顔立ちも端正で少しミステリアス。紫色の瞳と黒髪、褐色の肌が相まって色気もある。
だがレイバンは慌ててそれを否定した。
「違う! ったく、どうしてそっちなのさ」
「案外具合がいいぞ、男も」
「げ! 綺麗な顔してると思ってたけど、やっぱり色気づいて遊んでたのかよ」
「変な病気とかないから大丈夫」
「そこ、心配してない……。あ~ぁ、ご主人様ヤリチンか」
「後ろも悪くないぞ」
「処女でもなくなってた!!」
あれこれ衝撃を受けたレイバンだったが、それ以上は何も言わずに大きく溜息をつくと、一つ咳払いをして場を改めた。
「実は、ここの国の王様はけっこう金払いがいいらしいし、庶民と近いんだ」
「売り込むのか?」
最初のコメントを投稿しよう!