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「だから体は使わないって! 俺が森で新鮮な獲物を捕まえて、若い新米侯爵からだって事にして貢ぐ。王様、貢ぎ物に謝礼を出すらしいからそれを元手に冬の支度をしたらいいんじゃね?」
「へぇ、意外とずる賢いな」
「これでも猫のままで街に出入して、噂話とか聞いてたからさ。他にも色々知ってるぜ。どこそこの奥さんがどこぞの旦那と浮気してるとか、どっかの姫さんが実はとんでもないビッチだとか」
「お前、探偵したほうが稼げるんじゃないのか?」
呆れて言ったランバートは、ふと考えて立ち上がった。
「レイバン、今日の食材確保任せた。そこに獲物を入れる袋があるから、それ持って行けよ」
「ランバート、どこ行くの?」
レイバンの問いかけに、ランバートはニッと笑った。
「城に上がるなら、少しは支度が必要だろ?」
そう言って、街へと出かけていった。
夕方近くに戻ってきたランバートは、捕らえた獲物の毛を捌いているレイバンに一つの包みを渡した。
「何これ?」
血の付いた手を洗ったレイバンが包みを開け、目を輝かせて中の物を取り出した。
「長靴だ!」
大はしゃぎの彼は嬉しそうにしながらランバートを見ている。履いて良いのかお伺いを立てている感じだ。
「いいの?」
「いいよ。それに、靴を履かないと獣人は危ないだろ?」
「それはそうだけど……」
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