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心なしか紅潮した顔のまま、真新しい長靴を履くレイバン。白い靴下をはいているみたいだった足に、赤い長靴がとても似合っていた。
誰かの所有となっている獣人は、その証拠を身につけている。首輪を付けられていればペット、もしくは奴隷。靴を履いていれば従者だ。
貴族は珍しい獣人を従者にして見せびらかす事もあるため、城に遣いとして上がる事も不自然じゃない。
「有り難う!」
「どういたしまして。その分頼むからな」
「まっかせて!」
ニヤリと笑ったレイバンと食事をする。新鮮な兎が三羽、今日の食事だ。
「ランバートって、料理上手いよな。この兎肉のスープ、美味い」
「そこらの野草を取っておいて正解だな」
「そういうの、詳しいよな。薬草とかも詳しいだろ?」
レイバンの問いに、ランバートは曖昧に笑う。
「親父がこうした本を沢山持ってたし、教えてくれたからな」
「あの親父さんも不思議だよな。平民にしては妙に博識だし、本とか持ってるしさ。案外元金持ちだったりして」
「可能性はあるけどな。それなら財産、もう少し残して欲しかったよ」
確かに妙な父親で、その父親に懐いていたランバートは沢山の知識を授かった。料理もその一つだ。
「さて、明日から城に行ってくる。名前どうしよう?」
「侯爵としての?」
「そう」
「なんでもいいよ」
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