長靴をはいた猫(ジェイク×レイバン)2

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 謁見の間は赤い絨毯が敷かれた威厳ある一室だった。装飾は少なく、何となく無骨。人もあまり多くない。  その真ん中、高くなった場所に鎮座する人物を見上げて、レイバンは緊張から心臓がバクバクするのを感じていた。  腰に届きそうな真っ直ぐの黒髪、白い肌、端正な男の顔は見るだけで従いたくなる。眦が切れ込んだ黒い瞳、秀でた額から真っ直ぐに美しいラインを描く鼻梁。  長身で、側には長大な剣がある。この人自身が強いということが、肌で感じられる。 「お前が、獲物を献上に来た獣人か」 「はい。カラバ侯爵様の遣いで参りました、レイバンという者です」 「カラバ侯爵? 知らぬ名だ」 「国境付近に新しく来たのです。本日はそのご挨拶も兼ねて参りました」 「ほぉ」  一応、新しく来たのなら挨拶に赴く事はある。と、思う。だって偽ってるんだから、本当のところなんて分からないよ。  スッと王の黒い目が細くなり、心臓止まるかってくらいドキドキする。今を乗り切れなかったらここで殺されるかもしれない。その可能性は考えてなかった!  だが、王は冷静に何かを考えると視線をレイバンへと戻した。 「挨拶、ご苦労だった。獲物も有り難く受け取ろう。生きた兎は久しぶりだ」 「有り難うございます!」 「これをカラバへ」     
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