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謁見の間は赤い絨毯が敷かれた威厳ある一室だった。装飾は少なく、何となく無骨。人もあまり多くない。
その真ん中、高くなった場所に鎮座する人物を見上げて、レイバンは緊張から心臓がバクバクするのを感じていた。
腰に届きそうな真っ直ぐの黒髪、白い肌、端正な男の顔は見るだけで従いたくなる。眦が切れ込んだ黒い瞳、秀でた額から真っ直ぐに美しいラインを描く鼻梁。
長身で、側には長大な剣がある。この人自身が強いということが、肌で感じられる。
「お前が、獲物を献上に来た獣人か」
「はい。カラバ侯爵様の遣いで参りました、レイバンという者です」
「カラバ侯爵? 知らぬ名だ」
「国境付近に新しく来たのです。本日はそのご挨拶も兼ねて参りました」
「ほぉ」
一応、新しく来たのなら挨拶に赴く事はある。と、思う。だって偽ってるんだから、本当のところなんて分からないよ。
スッと王の黒い目が細くなり、心臓止まるかってくらいドキドキする。今を乗り切れなかったらここで殺されるかもしれない。その可能性は考えてなかった!
だが、王は冷静に何かを考えると視線をレイバンへと戻した。
「挨拶、ご苦労だった。獲物も有り難く受け取ろう。生きた兎は久しぶりだ」
「有り難うございます!」
「これをカラバへ」
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