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長靴をはいた猫(ジェイク×レイバン)1
むかし、あるところで、一人の粉引き屋が亡くなりました。
そこで三人の息子が、残された財産を分ける事になりました。財産といっても貧乏なので、水車小屋と、ロバと、猫しかありません。
一番上の息子が水車小屋をとり、次の息子がロバをとりました。3番目の末息子は猫をもらってがっかりです。
「猫をもらってもな……まぁ、ボロ水車小屋も修繕とか大変そうだし、ロバも痩せてどれだけ働けるかって感じだけれど」
そうぼやきながら過ごした水車小屋を出た末息子ランバートの手には黒猫が一匹いるのみ。両耳の先、そして足の先、尻尾の先が白い猫だ。
「さて、お前を養うだけの余裕はないんだが……もらった財産を手放すってのもな。だからって猫は食えないだろうし……いや、食べてみるか?」
「え! ちょっ、待って! 俺を食べるのか!」
「……ん?」
腕に抱いた黒猫が突然ジタジタしたかと思えば言葉を話す。そして次の瞬間には腕の中で小柄な青年へと変わった。
「猫獣人!」
ランバートは目を丸くして、目の前にある猫耳の根元をクリクリと撫で回す。すると猫獣人は途端に体をふにゃふにゃにして腰砕けた。
「あぁ、それ弱いぃ。気持ち良くなるぅ」
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