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長靴をはいた猫(ジェイク×レイバン)4
数日後、ランバートはレイバンに腕を引かれて森を抜け、街道沿いの川に連れて行かれた。
「レイバン!」
「いいから服脱いで!」
「うわぁ!」
剥ぎ取るように服を脱がされたランバートは、そのまま乱暴に川に落とされた。よく魚を釣っていた川だから深さがない事も流れが緩やかな事も知っている。だからって酷いじゃないか。
「どうしたってんだ!」
「もう少しで王様の馬車がここを通る! それを狙って顔合わせして、上手くやれば今から脱出できるかもしれない!」
レイバンはそれが上策だと言わんばかりだ。
だがランバートの胸には数日前の名も知らない男がいる。あの手が、柔らかく見守るような瞳が、熱い舌と手が忘れられない。体から思い知らされた気がする。
「レイバン、俺は……」
「ほら、来たぞ!」
見ればこちらに向かって立派な黒塗りの馬車が走ってくる。それを見て、ランバートは妙にドキドキした。
これで、いいのか? 確かに王に気に入られれば森の暮らしからは脱出できるかもしれない。でもランバートにはご立派な教養もなければ、地位もない。手に職だってないのだ。
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