長靴をはいた猫(ジェイク×レイバン)5

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長靴をはいた猫(ジェイク×レイバン)5

 ランバートと分かれたレイバンは、大きな城の前に立っていた。  門番もなく、ひっそりとしている。ゴクリと喉が鳴り、緊張に毛が逆立ちそうだった。  ここは人食い鬼と言われる王の城。人が嫌いで寄せ付けないという話だ。 「どうか、いませんように」  そう願わずにいられない。この城は王の居城の一つでしかなく、普段は放置されていると聞いている。たった一晩借りれればいいんだから、誰もいなくていい。  道中の人々にも「王がこの土地は誰の物かと尋ねたら、カラバ侯爵様の物ですと言うんだぞ!」と脅してきた。言わなかったら噛み殺してやるぞと言った。  猫獣人のレイバンに噛み殺す程の力はないのだが、昔から「獣人に噛まれたら呪い殺される」という噂がある。これ、案外噂だけではないようだ。  野生の獣人は色んなものを食べるから、どうやら獲物から毒や細菌を摂取するらしい。特に生食するような奴に多い。そんなのに噛まれると、獣人は平気でも人間は病気になるとか。  ちなみにレイバンは小さな頃から飼い猫で、生食はしない。ネズミや鳥を捕まえて食べる事もない。街に行くとけっこう餌がもらえて、安全な物を食べて生きてきた。     
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