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リー自治区は黒の街、白の街、日没の街からなり、そのそれぞれに、シミアン達の暮らすこの寮と、オーナーを同じくする寄宿制の建物がある。
そのいずれでも、ここ最近、感染症による死亡者が増えているというのだ。
「でも、うちはここのところ誰も感染してないよ」
シミアンが窓の向こうに目をやって、上の空でそう言った。
「それはほら、僕たちが優秀だからさ。規則がきちんと守られているんだよ。博士だって、この間褒めてくれてただろ。あの人以来、感染者はずっと出ていない」
「ああ、そうだね…なあ、あのさ」
「何、シミアン?」
真っ直ぐに自分を見返した目に気後れして、シミアンは唇を舐めて首を振った。
「いいや、やっぱり何でもない」
お互いに顔を見合わせて小さく笑うと、少年たちは肩をぶつけ合いながら、回廊を居住空間に向けて歩き始めた。
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