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いつものように仕事をしていると、毛並みの違う客が俺を指名してきた。
その客は黒髪短髪の小麦色に日焼けした肌とサングラスの男性。ガタイもいい。
「こんばんは、指名ありがとうございます。アオイです。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
男の低音ボイスに体がゾクゾクと震える。何とか平常心で席まで行き腰を下ろすと、男性はサングラスを外した。俺は男性の顔を見て更に驚いた。
何でこんなイケメンがホストの店にくるんだ?ここに来なくても、よりどりみどりだろうに……。
でも、鋭い瞳と右目横下の5センチほどの古傷があるせいか近寄りがたい感があり、ちょっと『や』のつく怖い人みたい。イヤイヤこれも仕事だ!と気合いを入れる。
「えっと、まずは名前を聞いてもいい?」
「小鳥遊だ」
「小鳥遊さんね、うーん、たかさんって呼んでもいいかな?」
「あぁ」
「えーと、俺と遊ぶのに2つの案がありまーす。まず1つ目はたかさんの好みのタイプを俺が演じて遊ぶ。ちなみに他のお客様には大人気ですよ。2つ目はこのままの俺で遊ぶことです。どっちがいい?」
「……このままで」
「OK、このしゃべりが嫌になったら言ってね」
飲み物は任せると言われたので適当に酒をオーダー。乾杯後、俺だけひたすらしゃべっていた。
……無茶苦茶やりにくい!
「えっと、たかさん、楽しくないみたいだから別の人に代わろうか?」
「いや、お前でいい」
「……」
「……」
えぇー、俺、どうしたらいいのこれ。
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