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家からスーパーまで歩いて10分。小雨の中、傘もささずに歩いていると、後からビッ!と車のクラクションが鳴った。振り向くと窓ガラスが開く。
前髪をオールバックにした黒髪短髪に、小麦色に日焼けした肌と鋭い瞳の人物と目が合った。
「えっ…うそ…」
右目横下に5センチほどの古傷が彼の色気を倍増させ、通りすがりの女性が思わず2度振り返るぐらいカッコイイ。だが、醸し出す雰囲気が正直言って堅気ではない感が半端ないその人こそ俺を救ってくれた神で、俺が片思いをしている相手だ。
「雅龍さん!!」
嬉しくなり笑顔で駆け寄った。
「暁、小雨だからと油断して傘をささないと風邪引くぞ。乗れ」
「うん」
いそいそと車の中に乗ると、手際よくカチューシャを取られ、ガシガシとタオルで頭を拭かれる。
「雅龍さん、ありがとう」
タオルを受け取りワシワシと自分で拭いていると、頬に大きな手がピトッと触れた。
「雅龍さん?」
どうしたのかと首を傾げながら雅龍さんを見上げると眉間に皺を寄せていた。
「冷たいな」
雅龍さんはそう言うと上着を脱ぎ、俺の体を前から包むようにかけた。ふわっと上着から雅龍さんの匂いが鼻をくすぐり顔が真っ赤に染まる。
ヤバイ!雅龍さんに抱きしめられているみたいでドキドキする!
赤くなった顔を見られないように上着を掴み鼻の所まで上げる。
「温かい…ありがとう」
上目遣いで礼を言うと雅龍さんは一瞬固まり、バシッと片手で自分の目を覆った。
どうしたんだろうと名前を呼ぼうと口を開いた瞬間、雅龍さんの反対の手でワシャワシャと頭を撫でられる。
「ちょっ、雅龍さん!」
結構な勢いに目をつぶっていると、ふっと笑い声が聞こえ目を開ける。
「くくく、すまん。髪がぐしゃぐしゃになった」
「雅龍さん…」
ジド目で雅龍さんを見ながら髪を治していると、ほいっとカチューシャを渡され受け取った。
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