約束

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 指切り拳万、嘘ついたら針千本呑ます、指切った。  --約束よ。私はあなたの物。あなただけを愛しているわ。 「なんて薄っぺらな愛」  私は吐き捨てるように呟き、溜息をついた。  肘をつくテーブルの上には、空になった発泡酒の缶が三本並んでいる。わざわざ銘柄を自分に向けて置いてあるあたりが私らしい。私らしくて笑けてくる。こんな時まで神経質にならなくていいのにと、半分怒りにも似た感情が込み上げて、そしてその感情は次いで瞼の裏を熱くした。  駄目、泣いてはいけない。  だって悪いのは彼だけじゃない。私も同罪だ。  わかっているのに、瞼の裏に灯り始めた熱は収まるどころか勢いを増すばかりだ。このままでは睫毛が焦げついてしまう。  鎮火しなければと湧き上がってくる水を無理に押さえ込めば、ぐずっと鼻が鳴った。
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