植物女

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 ずっと息苦しくて、やっと呼吸できる場所を見つけたのに。  そこで愛する彼と幸せだったのに。  なぜ、みんな私を放っておいてくれなかったのですか?  みんな私を植物のように無視してくれていれば、私は殺人を犯すこともなかったのに。  それとも、やはり私は狂っているのでしょうか?  ねえ、裁判長さん。  法廷内は静まりかえった。  そこにいる皆が美しい被告人を見つめた。 「あなたの言うその絶対的存在とはなんですか?」  裁判長は女に訊ねた。  女は何度か瞬きをした。  長い睫毛に濡れたような瞳。  花びらのような唇が動く。 「よく分かりません」  女は証言台を撫でた。  その木目をゆっくりとなぞるように。  それはまるで死んだ木の声を聞いているようだった。  
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