1人が本棚に入れています
本棚に追加
「水島、待って」
「なんだ、起きてたのか。驚かせるなよ」ぎょっとして水島は振り返った。「客も来ないみたいだし、そろそろ帰るよ」毎日のように客が来るわけではないから、水島の意見はもっともなことであった。
「いや、来るよ。あと少しで」
「なんだよ、さすがに――」
ブー
チャイムが水島の言葉をさえぎった。エレベーターで誰かが7階を押した合図だ。7階には「ナリワイヤ」のみだから、客が来たということだ。
「ほらね」にやりとする小早川。
「……」水島は返事ができずにまじまじと小早川を見た。ただの偶然だろうが、だとしてもこのタイミングとは。そうだ、小早川は異空間から来た人間なのか、と水島らしからぬことを考えた。
最初のコメントを投稿しよう!