探偵とは

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雪が舞い散る中、悴む寒さを耐え、ひたすらにカメラのシャッターを押す。 背後から雪を踏む音が聞こえ、振り向く。 「来たんですか?先輩も。」 「まったく雪には困るよなぁ、仕事がやりにくい。まぁ、雪のお陰で現場を押さえられたのは有難いがな。」 「同感です。湖面と雪のコラボに見に来る観光客に混じれば、写真を撮っていても目立ちませんし、彼等も逢瀬を楽しめます。それに、気付かれずに不倫の現場を撮れるかもしれません。彼等は用意周到で中々尻尾を出さなくて困っています。」 「ふーん、依頼人によれば旦那は不倫常習犯らしいからな。事前調査によると慎重で用心深い性格のようだし、尻尾を掴むのは難しいだろうな。まぁ、浮かれてくれれば楽だな。シャッターチャンスは一瞬だろう。」 「ない。それにしても綺麗ですね。探偵の仕事がなければ絶景のコラボを楽しめると思うと残念ですが、シャッターチャンスのために犠牲にします。無念。」 「仕事だ、仕方ない。で割り切れればなぁ……お、移動するぞ。」 「え、また?先輩、実は先程から少しずつ彼等は移動を繰り返しているんです。人が少ない方に……シャッターチャンスですかね?」 「あり得るな。少ない方が知り合いに会う確率は低いし、より大胆な行動をしても怪しまれないしな。よし、追うぞ。」
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