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次の日、彼女は僕の目の前で解体された。
僕が頑張って掃除をしたおかげか、そもそもそのつもりだったのかは知らないが、彼女の一部はお札として使われることになった。
彼女がお札として生まれ変わった日、僕は真っ先に彼女に会いに行った。
もしかしたらまた会えるのではないかと期待する気持ちが無かったかといえば嘘になる。
しかし当然ながら授与されたお札から彼女が出てくることはなかった。
「パパ早くー」
公園はお社がなくなって少し明るく且つ広くなった。そこを何も知らない子どもが駆け回る。かつての自分のようにそれはそれは無邪気に。
再婚した相手は横顔が少し彼女に似ていた。気立てのいい素敵な人だ。それに僕にはちょっともったいないくらいの美人。営業先で知り合って、物を大切にする彼女の姿勢に惹かれた。
僕は彼女の笑い声を聞きながら、子どもと一緒になって公園を駆け回った。大地に空気に感謝しながら、汗だくになって走り続けた。
完
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