僕と君と大地と空気

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 それから僕は月に一度は実家に帰ることを決めた。親からは離婚についてしつこくぐちぐち言われたが、そんなことはどうとも思わないくらい胸の内は清々しかった。これも彼女に会って話を聞いてもらうという習慣ができたからに他ならない。  僕はその都度彼女をーーお社を綺麗に掃除して、一緒に星を見ながらどうでもいい世間話をした。  最初のうちはお社自身が彼女だと知って、扉を拭いたりすることに抵抗があったのだが(変なところを触りやしないかと不安だった)しかし彼女が気持ちよさそうにしているのを見て、僕は徹底して掃除をしようと決意した。  その甲斐あって雑草だらけのじめっとしたお社も今ではすっかり風通しが良くなり清潔感を取り戻している。  両親は当たり前だが僕の行動を不審に思っていた。しかし別に悪いことをしているわけではないので、半年が過ぎた頃には気にするのをやめたようだった。
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