第三章 糾弾

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 レッスン後に佐藤の雇った探偵が、彼女の後をつけて二宮の家に帰るのを確認し、この録画画像を佐藤に渡せば、山峰も心底嫌いな覗き見からおさらばできる。  多分、あの勇敢な佐野さんが危ない橋を渡ることなく、真実が暴かれ、二宮議員の失墜と共に川崎の信用も地に落ちるだろう。  そう気を緩めていた山峰に、佐藤から届いた連絡は、レッスンに来ていた女は、二宮摩季に似ているが、違う女だったというショッキングな知らせだった。  何だと!?そんなはずはない。この時間は二宮摩季が通っていた時間だ。生徒たちが勘違いしていたというのか?  混乱する山峰が、胸ポケットで着信を知らせて震えるスマホに気付き、佐野からだということを確認すると、通話マークをクリックした。 『もしもし、佐野と申しますが、山峰さんのスマホですか?』 「はい、山峰です。昨夜は遅くにお邪魔してすみませんでした」 『いえ、こちらこそあんな時間にお呼びだてして申し訳ありませんでした。今夜はご都合よろしいでしょうか?』 「はい、大丈夫です。どこにお伺いすればよろしいですか?」 『それが・・・。実はもう一人の助っ人が言うには、誰か有名なジャズミュージシャンを紹介してもらえないかということなのですが、お心当たりはありますでしょうか?ライブハウスでもバーでもどこでも伺いますと言われたのです」     
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