第三章 糾弾

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 マホガニーは駅から歩いて12、3分ほどの裏通りに面した古いビルの地下と1階にあった。  地下はライブハウスになっていて、クラッシックで落ち着いた雰囲気のフロアの奥にステージがあり、ステージ前には可動可能な椅子が並べられている。  フロアの後方には、数段高くなった特別フロアがあり、小さな丸テーブルが10卓ほど置いてあった。  そのテーブル席は、1ドリンク付きでチャージ料がかかるが、酒を飲みながらゆったりと音楽を楽しむことができる。  もちろん、酒に合うつまみや簡単な食事もオーダーでき、一階にあるバーから、ドリンクと食事が運ばれるようになっていた。  星歌は杉本と連れ立って、1階のバーに入っていった。  店の名前の由来になったマホガニーのバーカウンターは、1世紀前のもので、イギリスのパブから移築したものだという。  木彫りの模様や、上部のステンドグラス、アンティークライトなどが威厳と風格を醸し出し、レンガの壁と相まって映画の世界にでも紛れ込んだ気分になった。 「素敵なところですね。ここにいるだけで自分が格上げされたみたいに感じるわ」  カウンターから離れ、アンティークパーティションで仕切られた奥まった席に案内されると星歌はほぉっと溜息をついた。     
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