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杉本も演出家としての血が騒ぐのか、案内されるまでにあちこちに視線を走らせ、テーブルに案内した係からマホガニーの店の由来を聞き、なるほどと感心していた。
星歌がカクテルを、杉本がジントニックをオーダーしている時、山峰がテーブルにやって来て、ハイボールと伝えると係は一礼して去って行った。
「遅くなって申し訳ありません。山峰徹と申します」
山峰が名刺を両手で杉本に手渡すと、杉本も自分の名前を告げ、名刺を交換した。
「杉本輝明さん?あの有名な演出家の!? これは‥お会いできて光栄です」
山峰が慌てて頭を下げると、杉本はそれを制し、気楽にやりましょうと笑った。
「最初に伺いますが、山峰さんは共同経営者の川崎さんをどう思われますかな?」
「どうと言われましても、グループを抜けた後、責任を感じたからとはいえ、私の口からは、あいつを共同経営者にしたことに対して後悔しか出ません」
「それなら話がはやい。川崎さんと手を切っても問題はありませんね?」
「もちろんです。正直、あいつの恥さらしな行動のつけを被る前に、手を切りたいと思っています」
杉本が頷くと、星歌が教室であったことを話しだした。
川崎が流したCDの音源に、パソコンの動画の声を被せたこと、そして美弥子から聞いた嘘を信じて、星歌を二宮代議士が送り込んだ偽装工作員だと思いこんで、川崎が手を出してきたことなどを・・・。
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