第三章 糾弾

40/45
前へ
/125ページ
次へ
 杉本が何か考えるように質問すると、リアムはもちろんと頷いた。 「本当はピアノの方が得意なんだけど、サックスは人の声みたいで色っぽいでしょ?だから好き」 「同じジャズミュージシャンとして、山峰さんの仕事のパートナーである川崎さんをどう思いますか?」  上杉が川崎の名前を出した途端、リアムは卵の殻を噛んだように嫌そうな顔をした。 「噂を聞いてる。あいつ最低ね。同じプレーヤーとして恥ずかしい」 「それを聞いて安心しました。実はあなたに協力して欲しいことがあるのですが・・・」  好奇心をむき出しにしたリアムが目を輝かせ、何?と身を乗り出した。  外国人のオーバーアクションに合わせるように、くるりと目を回し、眉をあげた杉本が、悪戯を持ちかけるように話し出す。  アンティークパーティションに遮られた秘密会議は、夜が更けると共に進行していったのだった。  
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加