105人が本棚に入れています
本棚に追加
杉本が何か考えるように質問すると、リアムはもちろんと頷いた。
「本当はピアノの方が得意なんだけど、サックスは人の声みたいで色っぽいでしょ?だから好き」
「同じジャズミュージシャンとして、山峰さんの仕事のパートナーである川崎さんをどう思いますか?」
上杉が川崎の名前を出した途端、リアムは卵の殻を噛んだように嫌そうな顔をした。
「噂を聞いてる。あいつ最低ね。同じプレーヤーとして恥ずかしい」
「それを聞いて安心しました。実はあなたに協力して欲しいことがあるのですが・・・」
好奇心をむき出しにしたリアムが目を輝かせ、何?と身を乗り出した。
外国人のオーバーアクションに合わせるように、くるりと目を回し、眉をあげた杉本が、悪戯を持ちかけるように話し出す。
アンティークパーティションに遮られた秘密会議は、夜が更けると共に進行していったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!