エピローグ 切り落とされた幕

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 (さい)は投げられた!観客は撒かれた餌に飛びついた。  あとはラストステージを待ち、川崎がどう反応するかで、勝負の行方が決まるだろう。    絶対に勝ってみせる!  星歌ばかりか、星歌の演技で盛り上がった場内を見た団員たちも、闘志に火をつけられていた。  杉本も客席から舞台裏にやってきて、よくやったと星歌を褒めた。  笑顔を浮かべた一行が、杉本と星歌を先頭にしてドアから廊下へ出た時、杉本に話しかけた男を見て星歌は思わず後ろに下がり、サークルメンバーにぶつかりそうになった。  杉本と2、3言葉を交わした川崎が、その隣にいた星歌に目を留めると、わざとらしい笑顔を作って挨拶をした。 「やぁ、久しぶり。佐野さんだっけ…。控室のモニターで見ていたけれど、シンガーソングライターの役良かったよ。ピアノも歌もすごく良かった。教えたかいがあって嬉しいよ」  怒りで強張った星歌の肩に、杉本の手がふんわりと置かれたので、星歌は我に返り何とか気持ちを抑えることに成功した。  ここで本心を見せては、せっかくの晴れ舞台をぶち壊すことになる。 「お久しぶりです。川崎先生。その節は大変お世話になりました」     
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