惨劇・ワンウッド傭兵隊編・進撃

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隊長の提案を受けた下級幕僚は頷きつつその提案を受け入れると捜索隊の伝令2人を呼んで本隊にキャンプの現状と情勢把握の為にダンジョンに潜入する事を伝える伝令として本隊に向けて走らせ、隊長は遠ざかる伝令の背中を一瞥した後にエルフもダークエルフも居なかった事に落胆の色を隠せないでいる傭兵隊に向けて号令を発した。 「よし、お前らっ今からダンジョンに潜るぞっ!!エルフやダークエルフがいなくてがっかりしてるのは分かるが気合いを入れていけ、このダンジョンには高位エルフが逃げ込んでる可能性がある、御高くすましたそいつを捕らえてヒイヒイ言わせてやれっ!!」 「もし、高位エルフを捕らえられたら私から進言して既に捕縛済みのダークエルフの騎士団長を一晩お前達の好きにして良いよう取り計らってやろうっ!!」 隊長と下級幕僚から示された新たな報酬の内容に傭兵隊は野卑た歓声を張り上げる事で応じ、彼等の反応を目にした隊長と下級幕僚は満足げに頷いた後に傭兵達をダンジョンの入口まで移動させる。 ダンジョン入口に到着した隊長は傭兵達を整列させつつ魔導士にスキャニングによるダンジョン捜索を命じ、その結果ダンジョンが一本道の単なる新規発生ダンジョンである事を確認した後に傭兵達にダンジョン侵入を命令した。 マスタールーム 定石通りスキャニングを行いダンジョンの概略を把握した後にダンジョンへの侵入を開始したワンウッド傭兵隊、マスタールームでその様子を監視していたアイリスは前回同様に魔導士のスキャニングを妨害し、初めてその様子を目の当たりにしたライナ達はアイリスの規格外の能力を改めて思い知らされていた。 「……スキャニングを妨害して偽のダンジョン情報を教えるなんて、反則級に質の悪い妨害よね」 「……スキャニングをかれた側は今までスキャニングが妨害された経験なんて無いから、教えられた偽の情報を疑う事無く信じてしまうわね」 「……スキャニングの結果と違う箇所に到達して慌ててもう一度スキャニングを行っても帰ってくるのは相変わらずの偽情報、あの屑どもが狼狽える筈だな」 アイリスの規格外の能力の一端を目にしたリーナ、アリーシャ、ライナはその能力の質の悪さに若干顔をひきつらせながら感想をもらし、それを聞いたアイリスは誇らしげな笑みを浮かべて頷いた後に傍らのミリアリアに向けて口を開いた。
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