惨劇・ワンウッド傭兵隊編・進撃

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「あの下っ端参謀が言ってたダークエルフの騎士団長って言葉だけど、当然心当たりはあるのよね?」 「……ああ、ヴァイスブルク伯国軍に所属していたダークエルフは数少なく、特に騎士団長は1人しかいない、名はミランダ・フリートラント、彼女はヴァイスブルク第八騎士団長で剣に魔法を宿して戦うのを得意としている。ヴァイスブルク陥落の際は殿を勤め私達の脱出に力を尽くしてくれたのだが、やはり彼女も虜囚の辱しめを受けていたのか……」 「ミランダ様は実直で誠実な御方で、その華麗な剣技も含め、とても尊敬出来る御方です、その、そのミランダ様を……あの、あの屑どもがっ!」 ミリアリアがアイリスの質問に答えた後に唇を噛み締めているとライナが怒りに肩を震わせながら呟き、リーナとアリーシャも瞳に怒りを宿しながら頷いた。 「……使い魔達の一部に残党狩部隊の本隊の位置と捕虜になってるエルフ達の状況を探らせるわ、侵入してきたこいつらをとっとと食い尽くしてから対策を講じましょう」 「すまない、何時も無理をさせてしまうな」 「ありがとうございます……アイリス様」 「……ちょっ、ライナっ!?」 「……ライナちゃんっ!?」 アイリスの言葉を聞いたミリアリアが申し訳無さそうに感謝の言葉を告げるとライナがそれに続いて御礼の言葉を告げた後に暫しの逡巡の後に魔王であるアイリスの名を敬称付きで呼び、それを耳にしたリーナとアリーシャが驚きの声をあげる中、アイリスが真剣な眼差しでライナを見詰めながら口を開いた。 「……本気なの?あたしは魔王なのよ、そのあたしの名を敬称付きで呼ぶ、その意味を分かった上で呼んだと理解していいのね?」 「……我らダークエルフは魔王について知悉しております、魔王の名を敬称付きで呼ぶ、それは魔王に恭順の意を示し、その配下となる事を示す、当然承知しております」 ライナはアイリスの眼差しを真っ直ぐに受け止めながら答え、その後にリーナとアリーシャを見ながら言葉を続けた。
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