金魚楼
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柄杓で箱に水を注いで、水瓶の蓋の上に置いてあった小刀で心の臓のうるささを紛らわせるように親指を刺した。 鋭く痛んだ親指から血がぷつりと滲み出る。それを水の中にひとしずく垂らした。 「おら、これでいいんだろう。おめえもとっとと寝るこった」 そうして振り向いた藤吾郎はぎょっとした。 「どうしたんだいそんな顔して」 緋色が藤吾郎の布団の上で、帯を解いていたのだ。
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