ほんわかＢＬの観察

友達以上。

「ほら続きやっぞー」

　先輩も立ち上がり皆に声をかける。彰くんは、すみません、と謝ってる。

　すぐに試合再開となった。けれど。再開してすぐだった。
　彰くんがパスを受け取ろうとした瞬間。　急にぐらりと揺れて、倒れかけた。

「……っと……あぶ、ね……っ」

　いつの間に来たのか、彰くんを支えたのは、瑛斗くん。

「つかお前……やっぱりさっきも転んだんじゃなくて倒れたんだろ」
「……ごめ、ん」

　瑛斗くんは「すいません、抜けます」と言って、彰くんを連れてコートから出てきて、私の方に向かって歩いてきた。

「マネージャー悪い、冷たいタオル、くれる？」
「うんっ」

　瑛斗くんに言われてダッシュでタオルの準備。冷たいタオルを持って戻ると、体育館の端に寝かせられた彰くんと、その横で座ってる瑛斗くんが見える。駆け寄ってタオルを二枚渡すと、瑛斗くんは、彰くんの額に一枚をそっと置いた。私の持ってるうちわに気づいて、「うちわ貸して」と瑛斗くん。手渡すと、「さんきゅ」とだけ言って、ぱたぱたと彰くんを扇ぐ。

　しばらく扇いで、瑛斗くんは、ため息をついた。もう一枚のタオルをくるくる巻いていく。

「……お前無理しすぎ。具合悪いなら言えっつの」
「……だって、試合、したかったし」

「倒れちゃしょうがねえだろ。ほんとお前昔からだけど、暑さに弱すぎ」
「………ごめん……てか、瑛斗はさぼってんなよ……」
「はー？　さぼってんじゃねえし」

　氷水で冷やした、冷たすぎるタオルを巻き終えると、彰くんの首筋に押し当てる。タオルで額と目を覆われて見えない彰くんは、不意の冷たさに身を縮ませた。

「つ、めた…っ　自分でやるからもーいいって。タオルよこせよっ」
「冷やしてやっから、動くな」
「一人でできるし。練習行って来いよ」
「行かない」
「さぼるなって。怒られるぞ」
「………」

　彰くんのその声は完全スルーして、また息をつくと、瑛斗くんは私を見上げた。