始動

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 これからデートだという2人を見送って、  部屋へ戻った私はベランダへ出た。  都会の街は周りのビルや家々から漏れる電気で  結構深夜まで明るい。  それに加えこのシェアハウスの建物は高台に  建っているので、かなり遠くまで見渡す事が出来た。  見える訳はないのに ――  思わずマンションの方向へ目を向けた。  2度と会わないって決めたのは自分。  だから今は、まだ同じこの町に一緒にいられるって  事だけで良しとしよう。  これから私は、  もっと強くならなきゃダメなんだ。  もし、何年か後、  彼と偶然何処かで再会しても、笑顔で話しが出来る  ように……。  私は強くなる。  ―― コン コン 「はーい?」  開いたドアから顔を見せたのは、  向かいに住むアフリカ系アメリカンのジェフ。 「ハ~イ・マイハニー、おじゃまですかぁ?」 「ううん、そんな事ないよー、どうぞ入って」  と、言うと「では、おじゃまします~」と  ジェフを筆頭にこのハウスの住人さん達が  ゾロゾロと入って来た。  皆、手に酒と肴、それにスナック菓子を  持っている。  どうやらこれから、夜通しの飲み会になりそうだ。  
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