重なる偶然

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 教室でのグループレッスンの後、  個人レッスンも終わり、  先生から勧められた英語小説の原書を買う為、  本屋へ向かっていると利沙から電話が入った。 『ハ~イ、これから何か予定ある?』 「本屋に行って、後は帰る」 『じゃ、清水さんの酔桜祭り行こうよ。  本屋は何処?』 「祇園の白鳳堂」 『なら、清水近いじゃん。私もこれからすぐ出るから、  終わったら電話して』 「分かった」  通話を切り、バス停に向かう。  本当は、各務の会社もあるので洛中エリアは  あまりうろつきたくなかった。  先生に勧められた本は白鳳堂オリジナル本で  そこで買うしかない。  店は駅にもバス停にも近いし、万が一、  偶然会う事があっても逃げ道はたくさんある。  と、気持ちを切り替え、電車に乗った。
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