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俺は書類を机の上に散積したまま椅子に座り、
後方の窓外へ目を泳がせていた。
静流が入って来て、ため息をつく。
(この度、彼女も俺と同じ監督委員に着任し。
おまけに俺のお目付け役となった。
ハッキリ言って超ウザい!)
「なぁにクサってんの?
今朝からずっとその調子よ。
昼はちゃんと食べた?」
お袋みたいに小煩い静流にうんざりしつつ、
くわえタバコに火を点ける。
「どーでもいいけど、
今夜の約束はすっぽかさないでよ?
あぁ、Wデートなんて久しぶり!」
「面倒くさい。行きたくねぇー」
「いい加減ハラを据えなさい。結婚するんだから」
「自分で決めた訳じゃない」
「こんな風に部屋へ篭ってばかりじゃ
気分も鬱になるってもんだわ。ちょうどいいから、
白鳳堂に私が予約した本取りに行って来てよ」
「かったりぃー」
「外の新鮮な空気を吸えば、
そのぼっさぁぁっとした頭も少しはしゃっきり
するでしょ。ホラっ」
追い立てられながらエレベーターに乗った。
外に出ると ――
ま、確かに3月の風は爽やかで、
頭と胸の中の澱みも少しは薄れてくれそうだ。
俺はゆっくり祇園方面へと歩き出した。
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