108人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、手近なホテルに場を移した2人は、
夜が明けるギリギリまでお互いの体を貪り合った。
逆立ちしたって一滴も絞り出せないってくらい、
思う存分欲情の証を放出して ――。
室に備え付けのユニットバスで身支度を整え
出てきた和巴をベッド脇へ呼ぶ。
「なに?」
と、身を屈めてきた和巴の首へチェーンを通した
あのプラチナリングをかけてやる。
「! 匡煌、これは ――」
「虫よけ」
「え?」
「お前、八方美人なとこはまだ治ってねぇからな、
東京じゃ狼が無限に寄ってきそうで、俺は気が気
じゃない」
「って、知ってたの? 東京支社に配属願い出した
こと」
「大吾に言われた……お前の成長を邪魔すんなって……
それに、自分の立場をもう1度良く考えろとも」
「そう……」
「俺、神宮寺の娘と結婚する。でも、何年か経って、
まだ今の気持ちのままでいられたら、神宮寺との
関係は清算して、もう1回お前にプロポーズするよ」
和巴の目尻に涙が滲む。
「泣くなって」
「ありがと、匡煌……私ね、昨夜は凄く迷ってた。
けど、いて良かった。何も言わずに旅立つのは
逃げるのと同じだって……もう、逃げるのは
懲り懲りだから……」
「愛してる、和巴」
今回のひと騒動で会えなかった数ヶ月でさえ、
こんなにも大きく変わった和巴。
あと数年も会わないでいたら、
どんな変貌を遂げるか?
今からそれが物凄く楽しみで待ち遠しい。
***** ***** *****
―― 川上風花より ――
続編も準備中です。
最初のコメントを投稿しよう!