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「ていうかあんた、なんでここにいるの?」
出されたばかりであろう炬燵の中に足を入れると、純粋な疑問をぶつけた。今日はなんでもない、普通の土曜日だ。東京に嫁いでからというもの滅多に帰ってこなかった妹が、なんでこのタイミングで実家にいるのか謎だった。
「んー、あたし、離婚したしィ」
「はぁっ?」
「だからー、離婚したんだって。門屋 公なの。ここに住んでるの」
平然となんでもないことのように言ってのける公。しかし寝耳に水のあたしにとっては、サラリと聞き逃せない事実だった。
「え、いつ?」
「最近だよ。二ヶ月前くらい」
知らなかった。そういえばこの前、留守電に母から「困ったことになった」とメッセージが残っていたが、このことだったんだ。
「ねー、おねえも離婚?」
「ち、違うよ!」
「じゃあなんで帰ってきたの? ケンカ?」
「子供たちが習い事の合宿でいないから、好きに過ごせば? って夫が── 」
「あー! ちび子たち元気ィ? 今何歳だっけ。四歳くらい?」
人の話を聞かないところは相変わらずだ。しかも間違ってるし。
「もう七歳と五歳だよ」
「まーじ! 人んちの子って成長早いって言うけど、まじだね」
『人んちの子』って、実の甥なんだけど。
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