彼女と私

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彼女と私

私は愚かな女です。 今年44歳、旦那と中学生になる息子がいます。 家計の足しにならないかと、春からパートに出ています。 勤め先は自宅から歩いて15分のコンビニです。 そこで彼女と出会いました。 彼女は隣の写真館で働いています。 色の白い、背の小さな子です。 いつも青いカーディガンを着ています。 その下には白いブラウス。黒のフォーマルなパンツ。 恐らく写真館の制服なのでしょう。 髪は後ろでお団子に結んでいます。 ほどけば肩よりも長いのでしょうか。 絹のようにやわらか。 私は想像します。 ふわりと風に泳ぐ、彼女の黒髪を。 なんてバカらしい。 あの頬の色、弛みのない肌。 彼女は明らかに20代前半。 こんなババアになんの興味があるというのか。 それに私は子持ち主婦。 身の程を弁えればいいのに。 いやそれよりも以前に、私は女性に興味はありません。 その筈です。
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