彼女と私

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私は女だから男と付き合うもの。 そういうものだと思ってきたし、そうしてきたし、女の子の見ために魅力を感じたって、 まったく大したことじゃない。 学生の頃は冗談で、原宿や渋谷に友人と出かけると、可愛い女の子引っかけるんだ~ なんて言ってたけれど、皆笑っていたからうけるジョークでそんなもので、 唯一怪訝な顔をした留学生なんか、ほっとけばよかった。 きた。 彼女が来ました。 ちょうどお昼。 休憩時間に入った会社員達に紛れ、小さな体がお弁当を求め、 ふらふら自動ドアを潜ります。 「あの子カワイーけど男にはキツいんスよ」 学生バイトのK君が唇を尖らせ文句を言いました。 彼女はどんなに混雑しても、必ず女性店員がいるレジに並ぶのです。 私は笑って誤魔化しました。 私には彼女の気持ちがわかります。 彼女はそうやって、自分を守っているのです。 若くて小っさくて可愛くて、大人しそう。 ちょっと背中を押せば、コロンと転がるんじゃないかと思うバカな男はいくらでもいる。 薄気味の悪い熱気を発散させながら、実際に近寄ってくる男が何人もいそう。
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