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「パパの愛を一番信じてないのは、お父さんだって分かってる? パパは…誰よりも、あたしよりも、お父さんのことが一番大好きなのに!」
「亜李栖」
「だってパパ、パパはもうすぐ天国へ行かなくちゃならないんでしょう?」
「!」
ぎゅっと祐聖のスーツの裾を掴み、縋り付いて言った亜李栖の一言にその場にいた誰もが息を飲み、立ち尽くす。
────死。
あえて亜李栖はその言葉を使わずに祐聖の命のともしびがあと僅かであることを現したのだが、死と向き合うことから目を逸らし、考えないようにしてきた徳川の感情を掻き乱すことを言う亜李栖に向かって、徳川は吠え散らす。
「何でお前がそんなことを言う!? 祐聖は、お前の父親だろう!?」
「でも、パパがアリスにお話ししてくれたんだもん! もうすぐ死んじゃうんだって!」
「嘘だッ!」
「パパは嘘なんか言わないっ! お父さんだってそんなこと、知ってるでしょっ?」
「…ッ! 祐聖の一番はお前で、次はこの神様だってのが本当だと知ってるがなッ! 俺は…そのつけ足しだって、お前も知ってるだろうがッ!」
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