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タイマーイー族の島
ある年の夏の盛り、私はタイマーイー族のキワーロ君に誘われ彼の故郷、南海に浮かぶ緑美しいモケア島を訪ねた。
『東郷(私のことだ)に俺の故郷を知って貰いたいんだ。』
キワーロ君は目を輝かせて言った。
その年、日本はハワイのように暑かった。あまりにも暑くて、もしかしたら南の島の方が涼しい位なんじゃないかと思っていた私は、一もニもなく同意した。
親切な事に我が友キワーロ君は、事前に色々なタイマーイー語の表現を自ら教えてくれた。初めまして、どうぞ宜しくとか、ご親切にしてくださりどうもありがとうございますなど。
彼の母語タイマーイー語は世界でも珍しい母音を語根とする言語だ。例えばタイマーイーという言葉はアイアーイーという語根から派生している。同じ語根から派生した言葉に、マイカーイー(木)やアイワーリー(魂)などがある。
キワーロ君の名前はイオという語根から派生している。熊という言葉がイワーロといって、キワーロは熊のごとき者という意味だそうだ。尚、タイマーイー語に於いて子音は母音に比して重要性が薄い為に異音が多く、キワーロ君も人によってはピワーロ、ティワーノなどと呼ばれていた。
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