爆死

1/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

爆死

放課後の廊下で住田マサシはスマホを持ったままうずくまっていた。 「10連ガチャ・・・・大爆死かよ・・」 スマホゲームの世界では、この一言で何が起きたのかはたいてい察しがつく。 その金銭的な負担が高校生には重くのしかかってくることも である。 「ここで SSR引いとかねぇと後あとツラいんだよな・・」 マサシにはどうしても激レアキャラを手に入れたい事情があったが、世の中甘くはないということだ。 「お困りのようですな」 気味の悪い口調で話しかけてきたのは1年のときいっしょのクラスだった安達(アダチ)だ。 「パズル&パズルで大爆死したときのような表情ですが・・」 表情はそりゃそういう顔だったろう。しかしゲーム名まで当てるとは。 「では、こちらをご覧ください」 アダチが差し出したスマホにはパズル&パズルのキャラクター一覧が表示されていた。 「・・・・  のわっ!!!! SSRじゃんか!!!」 たった今 自分の手が届かなかった激レアキャラをこいつはゲットしていた。 「すげぇな・・・、いくら使ったんだよ??」 「ふっふっふっ・・。ボクが金を持っているように見えるかい?」 いや、見えないけど。なんだよその自信。 「金がなくても SSRを手に入れるには・・・。  わかるだろ?」 「ラッキーだったってことだろ。 いいなあ」 運自慢というものは、目の前で明確な結果が出ているだけにタチが悪い。 この先どうであるかはわからないにもかかわらず だ。 「たしかに SSRを引き当てたのはラッキーだったと言えよう。  でも、そのラッキーが たまたま じゃなかったとしたら、どうだい?」 たまたま SSRが出てきたのをラッキーと言うんじゃないのか? アダチの釣り針がマサシに近づく。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!