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「不動の裏央都・松藤。その松藤が動かないとなれば、どこにこの役目が務まる?」
央都は1校だが、支える副都は2校ある。その1校は松藤学園であり、残る1校では明らかに力不足。ならば中央区に所属するどの学校にも務まる役目ではない。それほどの大役であることは、もちろん東山にもわかっている。
だからこそ彼は、松藤学園がその役を果たすべきだと主張するのである。
「お前の言いたいことは、もちろんわかっている。
だが次の総代選挙、松藤校内も荒れる。生徒会が今川を支持しないからな」
だが松藤学園内には今川基春の他にも総代・高子の取り巻きはおり、強烈な選挙運動を仕掛けるに違いない。脅迫に買収は高子の十八番であり、その指示を受けて動く取り巻きの不正行為に、学園内は嵐になるかもしれない。
そしてその隙を突き、取り巻きたちが生徒会を乗っ取りに掛かる恐れもある。いや、十中八九、黒薔薇の女王陛下は狙ってくるだろう。椿ですら気づいた可能性である。彼女が見過ごすはずがない。もちろん彼女の支配から同校を守り続けた桑園も。だからこそ彼は今年度、松藤学園を央都にしなかったのかもしれない。
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