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各地区の代表校、副代表校から成る代表議会。大評議会と呼び分けるため五芒星と呼ばれるその代表議会において、裏央都という特殊な地位にある松藤学園は常にそのメンバーに選ばれてきたが、必ずしも中央区の代表校、つまり央都であったわけではない。もちろんそれはその時々の会長の気まぐれであったり、目論見であったり。
桑園が今年度の央都を英華高校に譲ったのは、ただの気まぐれだったのか。あるいは年度末に起こるであろう松藤学園の混乱を予測し、代わりに中央区を束ね、抑止力として、あるいは対抗出来るようその権を預けたのか。
だが現在、裏央都・松藤学園の全権を握る桑園真寿見がその本心を明かすことはなく、椿たちは推測するしかない。
「松藤には松藤の事情がある、それはもちろん自分にもわかります。
ですが中央区にとっても、英華にとっても、克也も花園も捨て駒になんぞ出来るか!」
「東山、言葉を慎め」
仕方のないことだとなだめる花園だが、彼は自分が英華高校生徒会を抜けられないことをわかっている。だから自ら名乗りを上げることは出来ない。
もちろんその苦衷は東山も理解出来るから、花園を責める気は毛頭ない。けれど納得出来ないのである。
「どうせ捨て駒なら俺で十分でしょう。
花園は新年度会長、克也は自治会に据え置き。これは絶対です。新総代がどんな奴になろうと、自治会を立て直すために2人は絶対に必要です。どうしても英華から候補者を擁立しなければならないのなら、俺が出ます」
「友情ごっこは要らないよ、東山」
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