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もちろんそれだけの価値ある大義のためならば、それもいいだろう。お前自身がそう思うなら。
だがこの戦いは、もとより俺たちは敗者だ。決した戦いの場を新たに移し、活路を見出すための戦いだ。お前たちが戦う場は、その道を切り開くため。続く後輩たちのために切り開く道は、見誤らないでくれ」
これが去る者に出来る精一杯。椿にはもう、続く後輩のために戦う場はないのである。
「最後に1つ。これは噂だが、大評議会直後に、蓮華の間で茶会が開かれたらしい」
「蓮華の間って……狸どもの化かし合い?」
思わずいつものように言ってしまう東山に、机を挟んで向かいにすわる花園が 「東山」 と苦笑交じりに窘める。
「桜花理事会『八葉の老師』ですか」
花園が確認するように呟くと、有村が続く。
「その噂は執行部でも把握しています。
ですが先輩もご存じのことと思いますが、蓮華の間は所在が明らかではなく、噂の真偽は不明です」
桜花理事会最高決定機関である 『八葉の老師』 たちが集う蓮華の間。なぜ所在すら明らかではない茶会の開催が、噂となって流れてくるのか。そもそもそこからして謎なのである。
「執行部には狸の孫がいるじゃん。あいつも知らないのか?」
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