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面白くないと言わんばかりの東山が言う 「狸の孫」 とは、もちろん桜花理事会副長を務める天宮葵茜の孫、天宮柊のことである。
だが彼には彼の事情があるのかもしれない。あるいは本当に知らないのか、のらりくらりと執行部内の追及をかわしているという。
「狸の孫は所詮狸か」
仕方がないと言う東山だが、言葉とは裏腹に表情は不満そのもの。
「定例の報告会とは別の日、それも大評議会と同日に行われたこともあり、執行部も懸念してます。推測ではありますが、理事会が動くとすれば新年度。入都式以降と思われますが、執行部はすでに理事会の動向を注視しています」
「すでに執行部が動いているのなら余計なことだったかもしれん。
理事会相手に必要ないと思うが、英華を動かすことを容認する。必要であれば使え。
先にも言ったが、総代候補はお前たち以外でもかまわない。お前たちが擁立を望む人物なら、俺もその生徒を信じよう。全力で戦え。
必要に応じて全校生徒の動員を認める。人選、及びその判断、動員の全権は花園に一任する。
俺からは以上だ」
言って椿が立ち上がると、3人の後輩も立ち上がる。
「お前たちの善戦を祈る」
そう椿が言うと、彼の後を受けて代行を務める花園が姿勢を正して言う。
「私立英華高等学校生徒会を代表して申し上げます。3年間、ありがとうございました」
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