scene 3 私立松藤学園高等学校 ー影のように寄り添いて

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 話しながら部屋を進んできた松葉は、綺麗に片付けられた桑園の席に着く。 「お似合いよ、次期会長」 「どうも」  臆面もなく澄ました顔で返す松葉に、桑園は自嘲するような笑みを浮かべる。 「ご免なさいね、変なお仕事を押しつけちゃって」 「謝罪は結構です。俺は望んでこの席にすわることにしたんです」  そのおかげで、見るたびに鬱陶しく、切りたくて切りたくて仕方のなかった桑園の髪にハサミを入れられてすっきりしたとまで言い放つ。 「相変わらず強気な子ね。  そういえばあの髪、どうしたの?」 「捨てたでしょ」  あんな物を取って置いてどうするのかと素っ気ない松葉に、桑園は1つの提案をする。 「あの髪、この部屋に飾らない?」  自分の卒業記念にそうして欲しいとシナを作ってねだるが、松葉は一蹴する。 「そんな気持ちの悪いことはお断りです。学校七不思議でも増やしたいんですか?」  それこそ桑園は色物キャラだからそういう話題になっても構わないが、自分は違うので一緒にされるのは迷惑だとはっきり言うばかりか、現在の同校七不思議に欠員はないとまで言い放つ。 「実はその手の話、苦手なんじゃないの? 松葉ったら強がっちゃって、可愛いわね」 「先輩にとっては、俺は何をしても可愛いんですね」 「可愛い後輩ですもの。     
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