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この期におよんで何か用かとシラを切ろうとする金村だが、古城は大股に歩み寄ると金村の、コートを脱ぎかけた腕を取る。
「いいから来なさい」
「えっと、あの、コートぐらい脱がせてくれても……」
あまりに唐突すぎるその登場に、他に言い訳が思いつかなかったのだろう。ものの1分も稼げないような言い訳をする金村だが、古城はその1分に満たない言い訳すら認めない。
「いいわよ、着たままで。どうせ会長が脱がしてくれるから」
そう言ってにやりと笑うのを見て、金村の背筋に悪寒が走る。
「まぁコート以外も脱がしてくれるかもしれないけど」
「嫌ですよ!」
当たった嫌な予感に、思わず古城の腕を振り払おうとする金村だが、それを見越していたのか、古城も両手で掴んで放そうとしない。
「最後の奉公だと思って諦めなさい」
「なんで俺がっ?」
「男だったら、四の五の言わないでさっさと来る!」
「だったら俺、女になります!」
「はいはい、なってから言いなさい」
金村の必死の抵抗も虚しく、古城を応援するが如く薄情なクラスメイトたちは手を振る。
「頑張ってお勤めして来いよー」
「さらば、金村の童貞」
「骨くらいは拾ってやるからな」
「あの先輩、骨も残さず食いそうだよな」
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