高貴な種族の誤算

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 ヴァンパイアと12人の精鋭達の戦いは熾烈を極めた。  だが、銀の弾丸でどんなに攻撃を加えても即座に回復してしまうヴァンパイアの前に精鋭達の体力は徐々に削られていき、1人、また1人と倒れていった。  状況が変わったのは精鋭達の7人目が力尽き、その大きく構える大地へと背中から倒れ込んだ時だった。  残された精鋭達、そしてヴァンパイアさえも倒れ行くその人物に対して一瞬だけ視線を向けた。それは秒数にして約0.7秒。  その一瞬を精鋭の1人は見逃さなかった。  ヴァンパイアが意識を別方向に向けたその瞬間、腰に装備していた木の杭をヴァンパイアの心の臓に突き刺したのだ。   「ウッ………ギャアァァァァァァァッ!!!」  明かな致命傷を負ったヴァンパイアは、夜の世界をその音だけで壊してしまうかの様な断末魔とも思うべき叫び声を上げた。  精鋭達は畳みかける様に止めの銀の弾丸を放つ  しかし  致命傷となるはずの木の杭を心臓に刺され、何発もの銀の弾丸を受けてもヴァンパイアは倒れる事はなかった。  今にも崩れてしまいそうなガクガクと震える両膝を抑え、精鋭達を睨み付けながらヴァンパイアは口を動かした。 「今回は私の負けだ…。しばらくの間深い眠りにつくであろうが私の存在は消えん。いつか又この深い眠りから覚め、お前達人間の血を一滴も残さず飲み干してやる」  その場に居た全員の身体の芯まで響く恐ろしい声を発し、そして意味深な言葉を残して人々を恐怖のどん底に陥れたヴァンパイアは霧と共に消えた。  そしてそれ以来ヴァンパイアが現れる事は無くなり、数えきれない程のたくさんの悲しみを残して町にはしばらくぶりの平和が訪れた。
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