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「熱ゥッ! 痛い痛い! イタタタタッ!!!! コレは…! ヤバい本当にヤバい。…コレは、コレは…完全にどうしようもない。あ……おまけに再生出来ないし…」
ヴァンパイアは白夜の放つ光で焼け爛れ、再生する事が出来なくなった自分の右足を両手で抑えながら邸の室内の床を転げまわった。
………さて、本当に困った事になった…。
未だ収まる事のない右足からの激痛で涙を流しながら、少し冷静になったヴァンパイアは考えを始めた。
白夜が照らす白い光に触れただけで皮膚が爛れる程の火傷。こうなっては昼はともかく夜ですら邸の外に出る事は出来ない。外に出る事が出来ないのであれば人間の血を吸う事も出来ないし、他の場所へ移動することも出来ないよね? 血を飲めないなんて想像しただけで絶叫ものだ。…俺、よく1年間も血を飲まず我慢出来たな……。
イヤ! そんな事よりもまずはこの状況を打破しなければ。
う~ん…。こうなったら自分で道を切り開くしかないのか……。邸の外は俺を焼き尽くす死の世界。それならば…… そうか!
何かを思いついたヴァンパイアは勢い良く立ち上がり、爛れている右足の痛みなど忘れているかの様な速さで自身の住む邸の地下室へと降りて行った。
「この辺りにするか」
邸の地下室に降りたヴァンパイアはその室内の自らが決めた場所で片膝を着きしゃがみ込み、右手に魔力を込め始めた。
その魔力を込めた右手を床下に大きく強く打ち付け、邸の地下室の床に大きな穴をあけた。そしてその大きな穴の底に飛び降り、そこから横に穴を掘り進み始めた。
それから数年後
「親方ー! コレはどうしたら?」
「邪魔にならない場所に運んでおけ!」
1年中が白夜の国で蘇ってしまったヴァンパイアは地下トンネルを掘る現場監督になっていた。
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