白夜に潜むヴァンパイア

高貴な種族の誤算

　ヴァンパイア　という存在をご存知であろうか？

　それは人類から突然変異を起こして現れた夜の生き物。

『ヴァンパイアウイルス』と呼ばれるものを全身に保持しており、そのウイルスを対象に注入することにより対象を感染させ注入者の絶対的な僕とすることが出来る。

　更に、ウイルスに感染した生物は即座に細胞を書き換えられ、永遠にヴァンパイアとして生きて行く事を余儀なくされてしまうのだ。

　にんにくと十字架、そして銀に対して強い拒絶反応を示す。にんにくに対してはひどい花粉症の様なアレルギー反応が出るだけで済むが、銀に触れると触れた部分が壊死してしまう。

　十字架は生理的に受け付けない程度。我慢しようと思えば我慢できるが、やはり見ていて我慢が出来ない様である。人間であれば生ゴミに顔を突っ込んでいる様な感覚。大体が眼を背けるか逃げ出すであろう。

　肉体はかなり強化され生命力も高まる。物理的に止めを指すには心臓に木の杭を打ち込む、もしくは身体をバラバラにするか灰にするかしない限り、どんなにダメージを与えてもおよそ一晩で回復してしまう。

　ヴァンパイア達の一番の栄養源は人間の血。好まれるのが若い女性。血液を摂取できなかった場合は約2日程で死に至る。

　しかしこれ全ては、ウイルスを注入された一般的な「混血ヴァンパイア」に言える事だった。